読了『プリンシプルのない日本』

プリンシプルのない日本 (新潮文庫)

プリンシプルのない日本 (新潮文庫)

白洲次郎氏のことを書いた本は幾つもありますが
本人が書いた文章は、これ一冊だとか。


表題にもなっているプリンシプルについて、
本人はこう書いています。

プリンシプルは何と訳してよいか知らない。
原則とでもいうのか。
日本も、ますます国際社会の一員となり、
我々もますます外国人との接触が多くなる。
西洋人とつき合うには、すべての言動に
プリンシプルがはっきりしていることは絶対に必要である。

確かに、こういう「原則」にこだわった方だったようです。
自分の中にしっかりとした「軸」があると、
人間はこんなにシンプルに美しく回って生きていけるのでしょう。


とはいえ、そういう基準から見ると
この世の中は怒りを抱くことばかりのようで(^^;。
この本の中でも、どちらかと言うと怒っていることが多い(笑)。


彼の文章は、どこか粗雑なところはあるものの
自分を客観的に見る目と、弱者への慈愛に満ちている。
クチは悪いが、根は優しい人の話を聞いているような感じを受ける。


他の方が書いたとはいえ、
『風の男 白洲次郎』などで描かれた通りの
印象を与える文章で面白かったです。

風の男 白洲次郎 (新潮文庫)

風の男 白洲次郎 (新潮文庫)