映画『ダーウィンの悪夢』

一匹の外来魚が引き起こしたグローバル化。その光と闇。
ドキュメンタリーです。

ダーウィンの悪夢 デラックス版 [DVD]

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タンザニアヴィクトリア湖に一匹の魚が放たれた。
ナイルパーチ
人間よりも大きくなる肉食の巨大魚。

(↑ナイルパーチ=資料写真)


この魚は食用として売れたため
ナイルパーチを漁し、加工する工場が起きるなど
一定の経済的な発展を周辺地域にもたらした。
だが、その反面
その利益を求めて多くの人が集まり、一部はスラム化。
貧富の差が広がり、売春、エイズの蔓延など
のどかな漁村だった場所に負のグローバル化も進む。
肉食のナイルパーチは、豊かだった生態系を破壊し、
この発展にも限界が見えつつある。
それでも止められないナイルパーチ産業。


魚を運ぶ飛行機は、タンザニアから去るときは魚を積むが
来る時には武器を運んでいる疑惑まで持ち上がり・・・。


こんな映画です。
巨大で不気味な肉食魚ナイルパーチ
でも、この魚は白身魚として主に欧州や日本に輸出されているらしい。
この映画を観ながら”日本”の名前が出てきたことに
正直驚きました。
調べたら、確かにナイルパーチ白身魚として
日本でも消費されているらしい。
最近、食べた白身魚のフライもナイルパーチかも・・・。


生態系を破壊して、いずれ破綻が見えていても
現在の利益を捨てることができないのは、人間の悪弊。
それがここでも遺憾なく発揮されています。
自然を破壊して生活し、
結果的に自分の生活を破壊しかねない危うさの縮図が
このタンザニアなんでしょう。


そして、
経済規模で養える以上に人が集まるから貧困が起こる。
ここも芥川龍之介の『蜘蛛の糸』のような
人間の浅はかさ、浅ましさというものを観たような気になります。
どうして、科学は進歩しても人間は進歩しないのでしょうね。
とりあえず、この映画ではタンザニアが取り上げられてますが、
こういう話は全世界にある話だと思えます。
他人事としては観られない映画でした・・・。