読了『統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門』
古い本ではありますが、役立ちます。
統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)
- 作者: ダレル・ハフ,高木秀玄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1968/07/24
- メディア: 新書
- 購入: 9人 クリック: 153回
- この商品を含むブログ (130件) を見る
いかに統計という形態を取りながら、
恣意的な結論に導けるかを、実例を交えながら解説している本です。
例えば、グラフは描き方によって印象が随分違うとか、
一口に”平均”と言っても
- 「算術平均」=単純に全てを足して全体の数で割る方式
- 「中央値」=全体数の丁度”中央”を示す値
- 「最頻値」=全体数の中で、一番多い値
があり、
どれを取るかによって”平均”でも印象が違うという話。
本の中に載っていた例に手を加えて紹介すると・・・
例えば、平均年収「570万円」の会社があったとします。
しかし、その値は「算術平均」であり、
「中央値」「最頻値」とは印象が大きく異なります。
社員24名のこの会社の
具体的な年収と年収ごとの人数を見てみましょう。
年収4500万=1名
年収1500万=1名
年収1000万=1名
年収 570万=1名←算術平均(全部を足して、人数で割った値)
年収 500万=3名
年収 370万=4名
年収 300万=1名←中央値(全体の人数の丁度中間。上に12名、下に12名)
年収 200万=12名←最頻値(一番数の多いところ)
平均年収570万、と言いながら
実際に570万円以上の年収の人は上位4名だけ。
残りの20名は”平均”以下という状況です。
つまり、この会社は一部の上層部が給料が高く、
大多数の社員の給料は低い会社なんです(仮定の話ですよ!)。
こんな会社には就職してはいけません!!(笑)
ただ”平均”と書かれたのでは、
「算術平均」か「中央値」か「最頻値」か分からない、と著者は主張します。
上の会社の例で言えば、
社長「我が社の平均年収(算術平均)は570万で充分高い」
という主張もできれば
労働組合「我が社の平均年収(最頻値)は200万で安すぎる」
という主張もできる。
どちらも”平均”という言葉を使いながら
自分に有利なように印象を操作しようと思っているという例です。
(註:本の中ではドルで記載されていましたが、分かりやすいように置換えました)
こういう情報操作にダマされないように・・・という趣旨の本でした。
ただ、原書の発行年が1954年と古く、
書いてある内容、例にカビくささを感じるものの
趣旨としては今にも通ずる面白い本でした。