「金子みすヾ展」

横浜そごうで開催されている「金子みすヾ展」に行きました。
元々行きたかったところへ、タダ券もあったもので(^^;。


結果、面白かったです。
童謡詩人なので分かりやすい。


ワタシが好きなのは、ベタな詩ばかり。

「わたしと小鳥とすずと」


私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面(じべた)を速く走れない。


私が体をゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。


鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。

こんな短い言葉にシンプルに平等を訴えるとは。
みんなちがって、みんないい。
なんと言い得て妙な言葉だろう。

「ふしぎ」


わたしはふしぎでたまらない、
黒い雲からふる雨が、
銀にひかっていることが。


わたしはふしぎでたまらない、
青いくわの葉たべている、
かいこが白くなることが。


わたしはふしぎでたまらない、
たれもいじらぬ夕顔が、
ひとりでぱらりと開くのが。


わたしはふしぎでたまらない、
たれにきいてもわらってて、
あたりまえだ、ということが。

日々の何気ない出来事に
驚異を感じ、それを「当たり前」と片付けてしまわない
その心根を素晴らしいと思います。
ワタシも、そういう気持ちを忘れないようにしたいものです。

「星とたんぽぽ」


青いお空のそこふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、
星のお星はめにみえぬ。
  見えぬけれどもあるんだよ、
  見えぬけれどもあるんだよ。


ちってすがれたたんぽぽの、
かわらのすきにだァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根はめにみえぬ。
  見えぬけれどもあるんだよ、
  見えぬけれどもあるんだよ。

ワタシの好きな『星の王子さま』に通ずる
「見えぬけれどもあるんだよ」という言葉に惹かれます。
サン=テグジュペリよりも
金子みすヾさんの方が前の時代の人ですので、
金子さんの方が先、ということではあります。


今回の展示で金子さんが自死だと初めて知りました。
なんともやりきれない話です。


帰りに詩集を一冊購入。

わたしと小鳥とすずと―金子みすゞ童謡集

わたしと小鳥とすずと―金子みすゞ童謡集