TPP

最近TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の賛否が云われています。
自由貿易を目指す・・・という名目で
実質はアメリカの輸出拡大政策の一環。
日本では、日本企業の製品が関税なしで海外で売れることにより
産業分野では歓迎される意見が多く、
反対に、安い食料が入ってくることで
国内農業派からは懸念が表明されています。


そういうことはある程度承知の上で、基本的にワタシは賛成。
日本という国は、
海外を相手に商売をすることで成り立っていると考えるからです。
つまり、日本は海外にモノやサービスを売ることで外貨を獲得し、
その外貨でモノを買って来るからです(しかも貿易黒字)。


日本のカロリーベースの食糧自給率は39%(平成22年・農水省)。
もはや日本は海外との貿易なくしては成り立たない国なのです。


すんごく簡単なイメージで云えば、
日本は自動車やハイテク商品を海外に売って、
そのお金で海外から食料などを買っている状態です。
自国内で何でも賄えるのなら保護貿易主義でも良いでしょう。
でも、日本はもう一国だけで成り立つ状態でない。
であれば、日本の収入源である海外へのモノ・サービスの販売について
関税は少ない方が良い。
そう思うのです。


でも、もちろんこのTPPに反対の方も農業系の方を中心に居るのですが、
その中で下記のような意見をテレビで見ました。

日本は輸出国だと言われており、
TPPが、輸出に有利だと言われているが、
GDP(国内総生産)に占める日本の輸出の割合は13%。
金額で70兆円しかない。
残りの87%は内需である。
よってTPPで得られるメリットは限定的である。

何という幼稚な数字のトリック・・・。
わざとじゃないとしたら、どれだけ無知なのかと・・・。


GDPに占める輸出の割合と言うのは
直接海外に製品を直接に売った金額です。
つまり、トヨタであれソニーであれアニメコンテンツであれ
そういう最終販売者のみの金額であります。


それらの企業が製品を作る際に国内から調達する
原材料などは国内取引となり、「内需」に分類されます。
輸出が減少すると言うことは、
これら裾野の人々にも影響するということです。


例えば、自動車などは
フレームに鉄などの金属を使い、
内装に樹脂を使い、
メーターや音響にエレクトロニクスを使い・・・
様々な分野に裾野が広がっています。


自動車が売れなくなれば、当然自動車メーカーは
金属を買わなくなり、
樹脂を買わなくなり、
エレクトロニクスを買わなくなる・・・と思いませんか?
(購入先が100%国内というわけではないでしょうが)
「輸出」が「内需」を支えていると思いませんか?


例えば、ウチの会社でも輸出用の製品を作ってますが、
その製品を作る原材料は国内で買っています。
部品の加工をお願いしている協力会社も国内の会社です。
中小の企業の中には、
作ってる製品は輸出用に使われていても
国内でしか仕事をしていない会社というのが沢山あります。
(海外に事務所を構える余裕はないけど、技術力はある)
彼らの売上げは「内需」にカウントされますが
その源泉は「輸出」で入ってきたお金なのです。
それが中小企業の方や、その家族の生活を支えています。


そういうことがあるのに、

GDP(国内総生産)に占める日本の輸出の割合は13%。
金額で70兆円しかない。
残りの87%は内需である。

などと、どうして頭の悪そうな意見が出るのか。
ワタシは貿易問題の素人ですが理解できません。


もし、日本が貿易なしに成り立つのならTPPへの参加は不要です。
しかし、日本が貿易立国であるなら、それを目指すなら
激しい国際競争に勝つためにも日本は自由貿易を目指し、
TPPへの参加は必要と考えます。
農業分野を保護したいと言うのなら、
早期にTPPのルール作りに参加してダメージを減らすべきです。


日本製品は、かつての優秀神話を忘れた方が良いほど
国際競争力を落としています。
1980年代には品質的に圧倒的に良かったものが、今では
「品質は他国の製品に比べやや良い程度、価格はバカ高い」
というイメージで捉えられることも多いと聞きます。


海外の人は、日本人に聞かれればリップサービスもあって
「日本の製品は優秀だ」
と言うでしょう。でも買わない。高いから。
より安くて品質的に変わらないのであれば、他国製品を買います。


ワタシも、使ってるスマートフォンは韓国サムスン製です。
理由は、国内製品よりも優れていたから。
日本人としては残念ながら、他国製品の方が優れていることも多い、
そういう時代なのだと思います。
で、あればこそ
日本は国際競争力を落としそうな要因は排除していかなくてはなりません。
他国製品(エレクトロニクスや自動車分野では韓国製品)が
関税なしで販売する事態になるだけに(米韓はFTA締結)、
日本のことが心配になります。
(日本ももっとFTAを締結すべきです。まだ日本製品が国際競争力があるうちに)


ワタシは、輸出減になるよりも農業減になった方が
日本という国としてのダメージはまだ少ないと考えています。
下記のサイトも参考にしながら考えたいと思います。
【リンク】日本のGDP 外需が内需を支えている ①〜 輸出潰滅なら日本のGDPは半減! | 日本の面影